大判例

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東京高等裁判所 昭和54年(行ケ)9号 判決

一 請求原因一及び二の事実は、当事者間に争いがない。

二 そこで、原告主張の本件審決の取消事由の存否について検討する。

まず、引用商標から「デリケート」の称呼を生ずるか否かについて考察する。引用商標は、「資生堂」と「デリケート」との結合標章であるが、別紙第二のとおり、「資生堂デリケート」の漢字及び片仮名文字を一連に左横書きしてなり、各文字は同じ書体、同じ大きさであり、一体に表わされていることが明らかである。

ところで、成立に争いのない甲第四号証の一ないし六七及び弁論の全趣旨によれば、引用商標の「資生堂」の文字部分は、化粧品会社として著名な株式会社資生堂(東京都中央区銀座西七丁目三番五号所在)の略称であり、かつ、同社の化粧品に使用されている著名商標であることが明らかである。

また、「デリケート」の語は、「微妙な」「敏感な」などを意味する英語「delicate」を片仮名文字で表わしたものであるが、日常生活においても、「デリケートな感情」、「デリケートな表現」のように使われ、日本語として定着している。

引用商標に接した化粧品の取引者需要者は、まず「資生堂」の文字部分が著明な化粧品会社である株式会社資生堂を表わし、かつ、同社の化粧品に使用されている著名商標であることから、これに注目することは疑いない。したがつて、引用商標から「シセイドウ」の称呼を生ずるといえる。また、引用商標において、「資生堂」と「デリケート」とで、字数、語調において格段の差があるものではなく、「シセイドウデリケート」と一連に称呼しても冗長にわたるわけではなく、その構成からも自然に称呼されうるところから、引用商標から全体を一連に称呼する「シセイドウデリケート」の称呼も生ずるとみて差支えない。しかしながら、「デリケート」の語は、化粧品に関しては、広く「敏感な肌用」を意味することでもあり、専ら品質ないし用途区分を表示するものとして識別力がない語であり、実際上も、この種指定商品の分野において「デリケート」だけで、それが自他商品の識別機能を果していることをうかがわせる資料も全く存しないばかりでなく、著名な「資生堂」の文字部分が化粧品の取引者需要者に強く支配的な印象を与えるのに比べて、任意普通に用いられる語として、それだけでは一般的概括的で疎薄な認識を喚起するにすぎないから、引用商標からは、資生堂のみの各種商品相互の場合においてはともあれ、資生堂の商品とそれ以外の出所にかかる商品との間の識別標識としては、単に「デリケート」の称呼は生じないというべきである。

そうであれば、引用商標から「デリケート」の称呼を生ずるとし、これを前提として、本願商標と引用商標が称呼において類似するとした審決は、その余の点について判断するまでもなく、誤りといわなければならず、取消を免れない。

三 よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を正当として認容することとする。

〔編註〕本件に関する商標は左のとおりである。

別紙第一

<省略>

別紙第二

<省略>

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